[1:はじめに]

-私個人の体験から-

私はつい最近こんな体験をしました。 私のメーリングリストのページにネット上で拾ってきた画像をいれていたのですが、その画像の著作権を持っている人物からクレームが入り、画廊まで謝りにいきました。 アメリカではデジタル画像であっても無許可の使用は確実に訴訟に持ち込まれます。

私は8年弱インターネットを利用していますが、このことを通じてこんなことを思うようになりました。すでに情報基盤が社会基盤となり、ネット文化がいまだにEdgeであっても、より広い意味で考え答えを導かないといけない時代が現在であるということです。

現在もこのページのトップを飾っている、これら絵画はロバート・ハインデルという画家の作品です。ハインデルは「現在のドガ」と呼ばれるアーティストであり多くの舞踊家の絵画を描いている人です。ハインデルの著作権と吉田都さんの著作権を持っている人にあってきてこんなエピソードをききました。

イギリスではBBCがバレエの放送をするときに、群舞まで全員の了承をとってとれないと放送がきかないそうです。けれども、日本ではもともと芸能のようにサポートがないのもあるのですが、中堅以下のダンサーはとられたい放題、雑誌に載せたい放題で、都さんや草刈さんレヴェルのダンサーになると出版社が嫌われたくないからお伺いをたてるそうです。 H・R・カオスのメンバーでさえ、この間の雑誌の写真で1週間元気がなくなったといってるそうです。ダンサーの画像について、写真家とダンサー両方の了承が必要だという認識を定着させていくことが大切です。

デジタル画像だとたちが悪い人はTシャツにプリントしたりするそうです。自分がアーティストである時を空想してみてください。自分がOKを出していない自分がいやな画像が掲載されたこと、自分がいやな画像がネットに流れていることはアーティストが気にする自分のイメージも左右し、収入減を犯してしまいます。自分が楽しませてもらっているアーティストを傷つけ、彼らの想像力に対する感謝を無にしてしまいます。私自らがこのような体験をしたこともあるのですが、私なりに出来る範囲で整備していかないといけないなということを考えています。

-舞踊界と著作権-

舞踊界にはじめて著作権を持ち込んだのはルドルフ・フォン・ラバンといわれています。(それがラバン研究の国際会議で一番のラバンの功績ということになったそうです。) 現行の著作権制度では無形の感情表現までその範囲にいれることができます。従って、著作権の対象としてダンスを扱うことが可能です。

また舞踊家がなんらかの問題を感じたら、その段階で相手に対してクレームをいれる事ができる体制づくりと舞踊家と写真家の信頼関係、舞踊家とそれを取り巻く環境におけるモラルの認識が大きな意味を持ってきます。著作権が社会の情報化とともない、大きく変化をしだしていることはいうまでもありません。テクノロジーの側からは近年コピーする事ができないデジタル画像の開発などがされています。現在著作権は社会の情報化とともにedgeとして語られます。しかし単にedgeである・「訴えられなければ良い」というのみではなく、本当にアーティストの持つ創造性・権利を考えながら、テクノロジーと法政策・アーティストとそれをとりまく環境、それぞれの立場にたってみた総合的な現実問題の解決が必要になると思いここにFAQとして公開します。

自らが研究教育者として・<この問題だけ>を専門領域としてスペシャリストとして生きるのではなく、この必要性を感じる現実的な問題にコミットしながらジェネラリストとして問題を解決に導く方法はなにかしばらく時間をかけて考えました。ガイドライン・FAQをオンライン上で発信していくことは問題系を認知し相互の経験を蓄積し編集することが可能です。従って古いネットワーク文化に起源を持つ方法を選択することからこの問題を考え・多くの人の体験・質問に答えていくことがができればと考えるようになりました。

ネットワークを用いることで相互のインタラクションからこの問題について知識・経験を深めていくことが出来ます。実際にこのような事を解決できる体制作り・認知させる体制作りを私のメーリングリストで行うことが出来ればと考えています。現実に舞踊界に様々な形でコミットする人たちが多く議論を読むことができ、より現実的な判断を相互に深めあう事が可能です。 舞踊家と著作権について・情報社会と著作権について調べたり・考えたり参考にすることが出来るリンクをまとめてみました。また多くの人々の体験をきちんとクレジットを入れる形で良く質問がある内容(Frequently Asked Question:FAQ)としてまとめていくことにしました。

この内容について質問、付け加えたいこと・自らの体験を載せたいことなど あれば私宛て(yukihiko@sfc.keio.ac.jp)にメールをください。Q&A方式で記載していくことができます。舞踊家・舞踊研究者にとって使いがってのある、皆の経験がうまく編集されたページが出来れば何よりです。

 

[2:Q&A これまで日本であった判例・考える素材]